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- 142)【法務コラム】期限がきたら必ず返してもらえる土地の貸し方は?
【法務コラム】期限がきたら必ず返してもらえる土地の貸し方は?
A(相談者) 「十数年後に次男の家を建てようと思っている空き地について、貸して欲しいとの話しがあります。
それまでは使う予定がないので、15年後に必ず返してもらえるならば貸したいのですが、期限を15年・更新無しで期限に必ず返すという内容で契約すれば大丈夫でしょうか?
B(弁護士) 「借主が建物を建てないで資材置き場や駐車場に使用する場合であれば、契約は貸主が承諾しなければ更新されないので、その内容で契約すれば大丈夫でしょう。
しかし、借主が建物を建てる目的の場合は、注意が必要ですね。
A 「建物を建てると言っているのですが、期限に必ず返すと契約しても、返してもらえないことがあるのですか?
B 「建物を建てる目的の場合は、借地借家法が適用されて借主が強く保護されることになり、いくら期限を定めても、借主から契約の更新を求められると、貸主は正当事由がなければ拒絶できないのです。
そして、裁判では正当事由がとても認められにくいため、いったん貸すと賃料の滞納でもない限り期限がきても返してもらうのはとても困難になってしまう恐れがあるのです。
どうしても返してもらいたいときは、高額の立退料を払わざるを得なくなることもあるのです。
A 「それは困ります。必ず返してもらえるという貸し方はないのでしょうか?
B 「期限がきたら必ず返してもらえる定期借地権というものがありますが、期限が50年以上なのであなたの場合は使えませんね。
しかし、居住用に使わない事業用の建物、飲食店や販売店等の場合は、10年以上の期限で必ず返してもらえる事業用定期借地権というものがあります。
この事業用定期借地権を使えるのであれば、15年後に必ず返してもらえることが可能になりますね。
A 「わかりました。事業用定期借地権を使える内容なのかどうか確認してみます。
B 「ただ、この借地権は、必ず公正証書で契約しなければならないなど注意しないといけない点もあるので、息子さんの家を建てようと思ったときに借主とトラブルとなって困らないようにするには、借地に詳しい弁護士に相談するなどして慎重に契約するのが安心ですね。
(弁護士 官澤里美)
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